研究テーマ | 「食を介する健康維持の基盤:腸内細菌と脂肪細胞の制御」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院農学研究院 准教授 石塚 敏 |
研究概要 | 高脂肪食摂取、特に高ショ糖含有食は、メタボリック症候群の原因の一つとされており、腸内細菌叢の変化を引き起こすことも分かっている。一方、胆汁酸経口投与によって類似の腸内細菌叢変化を誘導することも可能であり、腸内胆汁酸のプロファイル解析と腸内細菌叢解析を行なって、高脂肪食でメタボリック症候群との病態が現れる機構を明らかにする。さらに、乳酸菌やビフィズス菌等の食品微生物の腸粘膜自然免疫と脂肪組織への作用を解明する実験モデルを構築する。 |
研究テーマ | 「食品機能性成分の吸収・活性評価プラットフォームの構築」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院保健科学研究院 客員教授 森山 隆則 |
研究概要 | 食の第三次機能としての生体調節機能に注目した食品(特定保健用食品等の保健機能食品)の70%以上が、腸管との関わりの中でその機能を発現している。保健機能食品を“機能する場”で分類すると、腸管から吸収された後に機能するもの(「血圧」、「中性脂肪」、「骨」の健康が気になる人向けなど)と吸収される前(吸収されず)に腸管内で機能するもの(「腸内細菌叢の改善」、「栄養素の消化吸収抑制」など)に大別される様に、食品の“機能性”と“吸収”には、密接な関係が指摘されている。本研究では北海道大学大学院保健科学研究院、先端生命科学研究院、薬学研究院が協力して食品成分の「分離・分析」、「消化・吸収」、「食品免疫」に基づく「食品機能性成分の吸収・活性評価プラットフォーム」を構築する。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「高度脂質分析ラボを拠点とする地域・広域・国際ネットワーク形成及び食による健康機能改善を支援する新規分析技術の開発」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院保健科学研究院 教授 惠 淑萍 |
研究概要 | 脂肪関連疾患は、コレステロール蓄積よりも、異所性脂肪蓄積症が問題であることが明らかになりつつある。異所性脂肪は、細胞内に分布しているために従来の血液検査では診断することはできない。本研究では、従来法では検出できなかった微量(ナノモルレベル)の中性脂肪の測定に加え、細胞に蓄積する脂質の検出を可能とし、肥満、酸化に注目した評価系開発を行なう。また、各種脂質分析装置を集積した高度脂質分析ラボ委託分析事業・共同研究を行なう。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「核内受容体を用いた、道産食品の機能性成分の評価・分析法の開発と民間への技術移転」 |
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研究代表者 | 産業技術総合研究所北海道センター 生物プロセス研究部門 分子生物工学研究グループ 研究グループ長 森田 直樹 |
研究概要 | 食品の健康機能性を評価する有力な方法に“核内受容体アッセイ系”がある。産総研北海道センターでは、評価用受容体を20種類以上有する国内最大級の評価系を運用中であり、世界初の分泌型ルシフェラーゼ発光色変異体による核内受容体アッセイ法の基礎技術開発など、アッセイ系の簡便化、コスト削減のための研究を進めている。本課題では、産総研が開発したアッセイ系の民間企業への技術移転と、技術移転先企業が有する動物試験系などの技術を融合することによって、食品機能性評価の道内受託試験体制の整備を行う。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「食材抗酸化機能データベースを活用した食を基本とした新しい地域の予防医療モデルの構築」 |
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研究代表者 | 旭川医科大学医学部 教授 若宮 伸隆 |
研究概要 | 旭川医科大学内に設立した「抗酸化機能分析研究センター」では、様々な道産食材の解析を行い、その分析値や素材情報を「食素材抗酸化機能データベース」に蓄積し、その一部はホームページ上でも公開している。本研究では、医学系研究者が関与して、地域における食機能研究のための基本インフラをさらに進化させること、また北海道の食素材や食品に対して臨床試験を含む医科学的な根拠に裏打ちされた抗酸化機能を中心とする機能性評価システムを構築し、これらの評価系や食品製造プロセスに客観性と透明性を与えることを目的としている。更に、食材の抗酸化機能分析やボランティア集団での臨床試験に留まらず、医療関係者と患者・その家族を含む地域住民に対して、地域で産する食を通じた、食関連教育の場としての役割も果たしていく。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「食の機能性研究を基盤としたトータルヘルスケアシステムの構築とグローバル展開」 |
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研究代表者 | 北海道情報大学医療情報学部 教授 西平 順 |
研究概要 | 地域イノベーション戦略推進事業において、地域との密接な連携により発展してきた食のヒト介入試験システム“江別モデル”(北海道情報大学健康情報科学研究センター)を活用し、食品の機能性の科学的エビデンスを蓄積し、健康の維持・増進に有用な機能性食品を活用した健康増進、予防医療、介護支援を統合したシステム(トータルヘルスケアシステム)のモデルを確立する。同時に、全体構想の中で“北大リサーチ&ビジネスパーク”や産業技術総合研究所北海道センターなどの地域研究機関と連携してグローバル化を推進し、国際機能性食品先進地域(グローバルフードバレー)の構築に貢献する事による地域創生を目指す。更には機能性食品を用いたヒト介入試験をアジア諸国や欧米の研究機関や企業に協力を求め、その科学的な評価データをもとにグローバル規模の「食と健康に関連した情報科学」の進展を図る。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「チョウザメ養殖開発と有用成分の活用技術の開発」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院水産科学研究院 教授 都木 靖彰 |
研究概要 | 動物性コラーゲンに比べて感染症などのリスクが低いマリンコラーゲンの利用が注目されている。マリンコラーゲンの一つであるチョウザメコラーゲン(特にⅡ型)は、その変性温度や水との親和性の高さなどの優れた特性が明らかになりつつあり、化粧品(保湿性等)や医療材料(軟骨再生等)への応用が期待されている。チョウザメコラーゲンの材料利用のための研究を進めると共に、肉やキャビアの利用による地域産業振興が期待できるチョウザメの養殖技術の開発を行なう。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「スフィンゴ健康科学の世界拠点形成とアンチエイジングを中心とする創薬、機能性食品の開発」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院先端生命科学研究院 招聘客員教授 五十嵐 靖之 |
研究概要 | 食品に含まれる機能性素材(スフィンゴ脂質、セラミド)が腸管から吸収されるのか、吸収された素材は、いかなるメカニズムでその機能を示すのかを明らかにし、その成果を新規医薬品の開発や食と健康に関する新産業に活かす。また、共同研究等による関連企業の結集を図ると共に、世界的な研究者のネットワークの構築により、研究開発の拠点化(スフィンゴクラスター)を目指す。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「完全人工環境下における植物栽培システムに関する総合研究」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院農学研究院 特任教授 丸谷 知巳 |
研究概要 | 植物を育成する温度や照明条件などを制御可能な完全人工環境型植物工場を活用して、その原料のほとんどを海外に依存している生薬植物の栽培技術を確立する。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「マイタケの高機能性プレバイオティクス食品としての実証と低コスト栽培技術の普及」 |
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研究代表者 | 北海道立総合研究機構森林研究本部 林産試験場 研究主査 佐藤 真由美 |
研究概要 | きのこは腸内細菌叢によって利用され、腸内環境に影響を与えることにより、様々な食品機能性を発揮するが、その詳細は未解明である。ここでは、マイタケ「大雪華の舞1号」の食物繊維とタンパク質が腸内環境に与える影響を検証し、それによって引き起こされる脂質代謝改善と自然免疫増強効果のメカニズムを解明する。また、ヒト介入試験による科学的エビデンスを得て、プレバイオティクス効果をもつ機能性食材として普及を図る。 |
研究テーマ | 「ウニの健康機能性物質の研究〜磯焼ウニ全量食品化計画」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院水産科学研究院 助教 浦 和寛 |
研究概要 | 磯焼けの原因となっている食用に適さない磯焼け海域のウニの全量食品化のための健康機能性食品としての研究開発を行う。当該研究室では、未利用資源である磯焼海域に生息する商品にならず、環境破壊につながるウニを効果的に畜養するシステムを開発したが、上記システムで改善不能なウニを原料とした腸内環境改善(プレバイオティクス)系健康機能性食品の開発と商品化を目指す。 |
研究テーマ | 「インフルエンザの新規診断・予防・治療法の開発と実用化」 |
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研究代表者 | 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 統括 喜田 宏 |
研究概要 | 人獣共通感染症リサーチセンター等で得られた、インフルエンザ、呼吸器疾患に関する基礎的研究成果を基に、感染阻害薬・ワクチンのアジュバント、インフルエンザ、呼吸器疾患の重篤化を防止する治療薬・ワクチンの開発と実用化を目指す。 |
研究テーマ | 「患者にやさしい最先端医療技術を核としたヘルス・イノベーションプロジェクト」 |
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研究代表者 | 北海道大学大学院医学研究科 教授 白𡈽 博樹 |
研究概要 | 肝がんなどの治療に用いる、世界最先端の分子追跡陽子線治療装置の開発を行ない、臨床実験の結果を基に、国際安全基準を満たした「疾病の予防・診断・治療計画プログラム」に関するプラットホームを構築し、国内外の研究者を招いて疾病情報や治療ノウハウの共有化を行なう。 <サブテーマ>
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研究テーマ | 「運動による健康社会の実現:運動不足指標と北海道型運動療法の開発」 |
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研究代表者 | 北翔大学大学院生涯スポーツ学研究科 教授 沖田 孝一 |
研究概要 | 「運動」、「食」の適切な運用による肥満を防止する取り組みにおいて、「運動」の及ぼす効果を、マイオカインや脳神経由来栄養因子に着目して、それらの特性を解明する分析法・評価法を開発する。また、それらの分泌に関わる、道内産食材の探索を進める。 まず、道民の運動不足指標の現状を解析し、健康寿命延伸に必要な体力、骨格筋量、身体活動量を検討し、最適なバイオマーカーを抽出する。その成果を寒冷地に適した運動補助具開発及び運動・行動療法ガイドライン作成に具現化する。さらに、これまでの科学的な知見を基に、抗肥満科学の創設を計り、社会実装の拠点とする。 |
研究テーマ | 「社会実装の場としてのコホート研究」 |
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研究概要 | 北海道では、地域自治体の住民の協力の下、札幌医科大学等を中心に各種コホート研究が行われている。それらの組織体、データベースを活用して、北海道産食材の長期の健康改善効果について検討を行うと共に、食と健康に対する住民意識の向上を図る。 |